スウォッチ新本社
3D加工で木造シェルの限界に挑戦

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木造のグリッドシェルが生き物のようにうねりながら建物を包み込む。
建設中のスウォッチ新本社は薄い木造シェルの限界に挑む。


公道をまたいでうねる屋根は逆さに置いた巨大な木の籠を、鳥の気分で眺めているようだ。
スウォッチ新本社には街のランドマークとしての期待が掛かる。

巨大なシェルは公道をまたぎ、道路の西側に建設中の複合ビル「オメガ2」の天井にかぶさる。シェルの内側に入ると、木材が縦横に複雑にねじれながら組み合わさっている様子が分かった。
まるでプレス機で金属を加工したかのような形状だった。

スイス国旗やスウォッチのブランドに使われる白十字を筋交いにした。ETFEの空気膜の内側に設置して雨音などを吸音する(写真:日経アーキテクチュア)

グリッドで構成する屋根と壁面は、ETFE(熱可塑性フッ素樹脂)の空気膜やガラスなどで覆う。日射を多く取り入れることによって、建物の温熱環境を整える。ETFEの空気膜などの効果は、施工現場の隣に設置した実大モックアップで確認している。

ETFEの空気膜には、所々に吸音用の十字の筋交いを入れる。白十字はスイスの国旗に描かれたデザインであると同時に、スウォッチのブランドを示すマークでもあると設計者は話す。

3つの建物に木造を活用。東から西へ「スウォッチ新本社」、公道を挟んで博物館などの「オメガ2」、生産拠点の「オメガ1」の3棟を新築する。オメガ1は鉄筋コンクリートのコアを囲むような木造の柱梁構造でオメガブランドの最新鋭工場となる。オメガ2は1階ピロティより上層階を純木造で建設し、博物館や会議室の機能を備える(資料: ShigeruBanArchitectsEurope)

3棟を建てるプロジェクトの設計者には、国際コンペで坂茂氏が選ばれた。坂氏の斬新なデザインを採用した発注者のスウォッチ・グループは、木を構造材に用いた3つの建物のなかでも特に目を引くスウォッチ新本社が、街のランドマークになることを期待している。

スウォッチ新本社は、建設のために購入した敷地がL字形だった。そこで、建物のコアや床スラブを鉄筋コンクリートで建設し、それらを生物的な形状の木造グリッドシェルで覆う計画にした。 参照資料:日本経済新聞(2017/07/11付)

 

投稿者: 参輪有紀